水槽で使われる接着方法は3種類あります。
・膨潤接着 - 有機溶剤を使用しアクリル板自体を溶かし圧着する方法 ・2液型重合接着 - 接着部に隙間を空け、接着剤(主剤+硬化剤)を流し込み、常温硬化させる方法 ・1液型重合接着 - 接着部に隙間を空け、モノマーを流し込み、熱で硬化させる方法
よく2液型重合と1液型重合をまとめて「重合接着」として語られます。
しかし両者には、熱処理工程や強度に大きな違いがあります。
製造の現場では2液型重合を「簡易重合」、1液型重合を「重合」と呼んでいました。
【接着部の強さ】膨潤接着<2液型重合接着<1液型重合接着
参考として住化アクリル販売会社の技術情報を載せておきます。
・膨潤接着 – 元板の50%以上の強度
・2液型重合接着 – 元板の50%~70%の強度
・1液型重合接着 – 元板に近い強度
※圧縮せん断強さの実測値:溶剤型では20~40MPa、重合接着剤(2液型)で55~60MPa
接着 | 技術情報 | 住化アクリル販売株式会社 (sumika-acryl.co.jp)
どの接着方法を選択するのかは板厚と予算によって決めます。
水槽メーカーによって基準は異なりますが目安として…
接着に適した板厚
・膨潤接着 - 5t,6t,8t,10t,13t,15t
・2液型重合接着 - 8t,10t,13t,15t,18t,20t
・1液型重合接着 - 15t,18t,20t,25t,30t...
※ tは板厚(5tの場合、5㎜の板厚を表しています。)
ここで私が一番伝えたいことは、接着方法よりも板厚の選定が重要ということです。
水槽サイズW1200×D600×H600の場合


板厚10t水槽は膨らんでいるため、常に広がろうとする力がかかり続けます。


仮に【10t重合接着水槽】と【13t膨潤接着水槽】を製作した場合、
【10t重合接着水槽】よりも【13t膨潤接着水槽】の方が長期使用に適しています。
重合接着=板厚を薄くしてよいわけではありません。
適正な板厚で作られた水槽を前提として、予算に応じて接着方法を選ぶようにしてください。
個人的には重合接着の内Rが好きです。(高価ですが…)
以上まとめると
・水槽で使用される接着方法は? →膨潤接着、2液型重合接着、1液型重合接着 ・強度のある接着方法は? →膨潤接着<2液型重合接着<1液型重合接着 ・接着の使い分けは? →板厚と予算で決まる。板厚が薄いと、重合接着であっても耐久性が落ちる。
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