なぜアクリル水槽にはフランジ(補強)があるのか?

水槽解説

皆さん一度は疑問に思ったことがあると思います。

「ガラス水槽には補強が無いのに、なぜアクリル水槽には補強があるのだろう?」

私も水槽製作会社に入社するまでは疑問に思っていました。

結論を先に言うと、アクリル板はガラス板に比べて変形しやすい(剛性が低い)ためです。

試しにガラス水槽とアクリル水槽(フランジなし)を製作してみます。

水槽 W900×D450×H450 板厚8t 

水を張ったときのシミュレーションをしてみると…

正面板・背面板それぞれ最大0.4mm広がっている。
正面板・背面板それぞれ最大9.8mm広がっている。

ガラス水槽はフランジなしでも形を保つことができますが、アクリル水槽は正面板・背面板それぞれ約10㎜広がっています。

正面板・背面板が広がると何が問題かというと、接着面が剥離してしまいます!

最大3.9MPaの応力がかかっている。(1㎠あたり約40㎏の力がかかっている。)

フランジなしのアクリル水槽は板厚を分厚くすることで製作可能ですが、金額が跳ね上がります。

(ちなみに水族館にはフランジなしのアクリル水槽が存在します。是非、探してみてください。)

そこで、板厚は薄いままでも強度を高めるために、アクリル水槽にはフランジが付いています。

アクリル水槽(フランジあり)に水を張ってみると…

フランジなしでは最大9.8mm広がっていたが、フランジを入れることで広がりは解消されている。

フランジを入れることで、広がりが抑えられたことが分かります。

続いて水槽にかかる力(応力)をみてみると…

フランジなしでは最大3.9MPaかかっていたが、フランジありでは1.8MPaまで軽減。

接着部にかかる力も半減していることが分かります。

以上まとめると

なぜガラス水槽にはフランジがないのか?
 →水を張っても形を保つことができるため。※1
・なぜアクリル水槽にはフランジがあるのか?
 →フランジがないと水槽が変形し、接着箇所が剥離してしまうため。

※1 ちなみにガラス水槽でも中型~大型になればフランジが必要になります。理由はアクリル水槽と同じ理屈です。

今回は、フランジ(補強)について説明しました。次回は、適正な板厚について説明します。

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