解説するアクリル水槽は国産キャスト板を使用していることを前提としています。
(基本的に水槽では、低分子である輸入アクリル板&国産押出板は使用しません。キャスト板と押出板の違いはこちらで解説しています→https://minakome.com/difference)
四角い水槽の金額を決める主な要因
・使用するアクリル板の大きさ ・板厚(板の厚み) ・接着方法
それでは詳しく解説します。
使用する板の大きさ
例えば30㎝キューブ水槽と60㎝キューブ水槽どちらが金額が高いかというと…
60㎝キューブ水槽の方が金額が高くなるのは感覚的に分かると思います。
使用するアクリル板 ・30㎝キューブ水槽…60㎝×90㎝の板が必要 ・60㎝キューブ水槽…120㎝×180㎝の板が必要(30㎝キューブ水槽の4倍の大きさ)
ちなみにアクリル板には規格サイズがあります。
110㎝×130㎝、90㎝×180㎝、120㎝×240㎝、1m×2m、2m×3m 他
「水槽の規格サイズ=アクリル板を効率よく使用できるサイズ」になっています。
そのため、板取りが悪い(アクリル板が中途半端に余ってしまう)水槽は、水槽本体の金額+余ったアクリル板の金額が合算されて請求される場合が多いです。特注でサイズ指定して割高になるのはそのためです。
正直、「規格サイズの水槽」と「サイズ指定の水槽」の製作する手間はほとんど変わりません。
板厚
では使用するアクリル板の大きさが同じ場合はどうでしょうか?
W1000×D500×H500(天板くりぬき水槽)とW500×D500×H1000(天板くりぬき水槽)
使用するアクリル板の大きさは同じです。水量も同じです。

一見同じ条件に見えて、実際は板の厚みが違います!それは水圧のかかり方が違うためです。
水槽は水圧を受けても膨らまないように設計します。
そして水圧は水量ではなく水深で決まります!
試しに、両水槽の板厚10tとして水を入れると…

本来は横幅(W)が広い方が膨らみますが、「高さ1000㎜」は横幅が半分にも関わらず1.5倍膨らんでいます。
通常、W500×D500×H1000は水槽が膨らまないように板厚20tまたは25tで製作します。
(水槽の膨らみについて解説しています→アクリル水槽は膨らむって本当?)
つまり一見同じ大きさの水槽でも、使用しているアクリル樹脂の量が異なります!

接着方法
アクリル水槽の接着方法は3種類あります。
膨潤接着、2液型重合接着、1液型重合接着
どの接着方法を選択するかによって金額が大きく変わります。
(接着方法について解説しています→接着は重合接着が一番良い?)
水槽の金額を抑えるには?
結局、規格サイズを選ぶことが一番安く済みます。
アクリル板に限らずガラス板や木材・各種プラスチック板など規格サイズは共通しているため、付帯設備(水槽台や濾過槽)も規格サイズに合わせて作っていることが多いです。
特注してサイズ指定する場合は、水槽の高さを低めにすると金額が抑えられることが多いです。(板厚が薄くなるため)
個人的には、海水魚水槽・水草水槽でレイアウトを定期的に変更する場合は高さ50㎝以下が良いと思います。
私は昔、高さ60㎝の水槽を使用していましたが、肩まで水に浸けないと水槽底に手が届きませんでした。服が濡れるので上半身裸で作業してました(笑)
最後に
水槽の金額は水槽のサイズを工夫することで抑えるべきで、長期使用に適していない安い水槽(適正な板厚ではない水槽)は選ぶべきではないと私は考えています。正直、ネットやペットショップには私たち製作者が使用したくない水槽が普通に売られています。そして、アクリル水槽は膨らむものだと誤解されています。本来、アクリル水槽は正しく設計されていれば膨らみは小さく、長期使用にも適しています。このサイトを通じて、製作者側の意見や思いが伝われば幸いです。
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